今日は後期にとった New Product Development について話したいと思う。
この授業はマーケティングの授業の一種なのだが、アントレプレナーシップの色が濃い。
中身は名前の通り“新商品開発 ”だがこれにはいわゆる携帯電話やパソコンなどのProductだけではなく、ホテルやフードのServiceも含まれる。
|
授業内容をシラバスから抜粋。 |
まあ要するに”新しいビジネスアイデアを出してどのようにそれを売り出すか(Marketing)”についての授業です。
この授業、Professorが最高に厳しい人だった。最初の授業の後10人ぐらいがドロップしました(基本30-40人のクラスなのでこれはかなり大きな数字)。彼の口癖は“いまここでプロフェッショナルにならないでいつなるんだ?”でした。
例えば授業に1分でも遅刻すると欠席扱い、授業に発言においても常に論理的な根拠(Why)が求められる。
授業ではExam がないので3つのプロジェクトが課せられました。
1.Mid-Termグループプロジェクト=Fortune 500に入っている会社に“現存しているプロダクトの次世代版“のビジネスプランを書くこと。例えばWhat in your opinion should the “i-phone 5” be?
2.Finalグループプロジェクト=いままで世の中にないまったく新しいサービス/プロダクトを考え出してプレゼンテーションをすること。これはNoレポート。
3.個人プロジェクト= Fortune 500に入っている会社に新しいサービス/プロダクトを提言しビジネスプランを書くこと。 例えば you could recommend that McDonalds should introduce ‘pizzas’
1Termで3つのプロジェクト、つまり3つのビジネスプランを作るっていう相当濃い授業でした。
まずMid-termのグループプロジェクトでは何を提案したのか?ちなみに自分のグループはインド人1人、インドネシア人2人、シンガポール人1人、自分っていう構成でした。
自分たちのグループが考えたのは子どもが乗る“おもちゃの車の乗り物”に、“掃除機”をつけてしまおうというアイデア。Fortune 500会社であるアメリカのMattelが出しているPower Wheelという商品に掃除機をつけたらどうだ?っていう提案です。
この新商品を正当化した背景:
1. アメリカのおもちゃ市場:2009年から2014年の間に約4%の成長が見込まれている。しかしこれといった新技術は生み出されていない=マーケットがSophisticatedしている。Ride on Toy (乗り物系)の市場は全体のおもちゃ市場の11.4%を占めている。
2. アメリカ消費者動向:子どものおもちゃに多くの消費が行っている数少ない国の一つであり、0-14歳の人口が年4%増えている。
3. Mattelの売り上げは2009年に6%下がったが、アメリカのおもちゃ市場では高いブランド力がる。
4. 子どものおもちゃを選ぶのに親がかなりの影響力を持っている。子どもがおもちゃの乗り物で遊びながら家の中を掃除できるので、親の方へも新商品を強く訴えかけられる。
それとATARモデルという売上と利益を予測するモデルをビジネスプランの中に組み込まなければならないのでそれも紹介。
以下がそれの計算式。
===========================================================
Market Size:ターゲットのマーケットの人口。
Awareness: ターゲットのマーケットでどれぐらいの%の人がその新商品の存在を“知っているか”。
Trial:その中で何&のひとが商品を“試すか”。
Availability:またその中でその商品が“手に入れることができる”のは何%か。
Repeat:以上の3つをクリアした人の中で何%の人が“リピート”するか。
Market Size*(Awarness*Trial*Availability*Repeat) で
総売り上げ台数がでる。
===========================================================
またコストなどの数字を入れることによって新商品の大体の売り上げと利益が予測できる。このケースだと以下の通り。
1. まず始めにMarket Sizeを想定する。
2009年のアメリカでは、
18歳以下で、親がいる子どもの人口= 74,230,000
10歳から18歳までの子どもの人口= 19,974,000+21,538,000=41,512,000
よって10歳以下の子どもの数 = 32,718,000
貧困ライン以下生活している家族の割合= 10.3%
したがってターゲットマーケットのサイズである10歳以下のアメリカの子どもで、親と一緒に暮らしていて、貧困ライン以下で生活していない人口は= 29,348,046
2. Awareness
Mattel によると子どもがいる親の間でMattelの認知度は100%(100%とは100人中100人がこのブランドを知っているということを意味する。しかし新商品なのでAwarenessはもっと低い数字だろう。これはプロジェクト中に気付かなかった。反省)
3. Trial
1971年から現在まで25millionのMattelのよって製造されたおもちゃの乗りものが売れ。約657,895 台が毎年売れていることになる。毎年同じ台数が売れていると想定するとTrial は2.24%。
4. Availability
Mattelの商品はトイザらスやウォルマートといった大型量販店で売られているだけではなく、インターネットでの販売も行っている。よってAvailabilityは90%。
5. Repeat
親は子供につき一台しか買わないということを想定。よってRepeatは0%。
以上のような想定をした上で実際に計算をしてみる。
Market size (units) | 29,348,046 |
% Awareness | 100% |
% Trial | 2.24% |
% Availability | 90% |
| |
ATAR | 2.02% |
すると一年目の売り上げ台数は9348046×2.20%....から
Year 1 Estimated Sales Volume | 591,657となる。 |
そして売上高、利益もろもろは以下のようになる。
Retail Price/Unit | 300.00 |
Sales Revenue | 177,496,982.21 |
Gross Margin on Sales | 100% |
Year 1 Projected Net Income | 11,469,793.79 |
よって一年目の総利益は1146979379ドルになる。
以下は利益もろもろを出すのに使った想定。
Manufacturing cost of a car | 140.00 |
Cost of an Eureka Vacuum cleaner | 18.00 |
Warranty | 75.00 |
Variable Costs | 100,000.00 |
Marketing & Distribution | 500,000.00 |
% discount to retailers | 10% |
Further discounts for promotion | 10% |
Total cost | 166,027,187.42 |
このATARモデルの最も重要なのは想定する数字に根拠があって説得性があるかどうか。ちなみに実際に出したビジネスプランでは全ての数字の根拠を提供している。たとえばAvailability 90%にはどのような根拠があるのか(単にインターネットにオンラインストアがあるだけで、インターネットが使える人口全員がその商品を手に入れられるのか?)など。
ATARモデルばっかになってしまいましたが、とりあえずMid-termプロジェクトはこんな感じでした。もちろんビジネスプランにはMarketingの戦略なども含まれています。でもProfessorはこのATARモデルをかなり重要視していました。学期中ずっと論理的な根拠を求めるのを強調していたので、このモデルではそれがもろに現れますよね。
だってインベスターへのプレゼン、もしくは役員会で新商品に対する投資、もしくは承認を勝ち取るのに最も説得力があるのってやっぱり根拠がある具体的な数字(要はどれだけ利益がでるんだ?って話)ですもんね。
続く。